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「眠り姫へのキス」とコーチング ~ソリューションフォーカスの人間観~

「結局コーチの仕事って、いったい何なんだろう?」
「クライアントさんを操作するのは違うんだよね・・・じゃあコーチにできることは?」
コーチングを学ぶ上で誰もがぶつかる疑問であり、私自身もいまだに考え続けている問いです。

そんな問いに、少しでもヒントになりそう話が「ソリューションフォーカスから見た”眠り姫へのキス”という話です。

これは、コーチングの世界にソリューションフォーカスを持ち込んだ、ピーター・ザーボ氏の通訳をさせていただいたときに、セミナーの締めくくりとして聞かせてもらったお話で、私も大好きな話です。

目次

「眠り姫へのキス」の意味(ピーター・ザーボ)

私たちコーチ/カウンセラーは、よりよくクライアントさんをサポートできるために、様々な研鑽を積み、毎セッション、全力で取り組んでいます。セッションの成果に、一喜一憂することもあるかもしれません。

そこでちょっと考えてみたいのは、コーチング/カウンセリングにおいて、クライアントさんの進歩・前進・変化は、どのように作り出されるのか、ということです。

グリム童話に、「眠れる森の美女」という話があります。

ある国で、生まれたばかりの姫が、魔女のから「100年の眠りにつく」という呪いを受けてしまいました。
呪いが発動しないようにという王様の努力もむなしく、お姫様は15歳で100年間の眠りについてしまい、白はいばらに覆われてしまいます。

多くの男たちがお姫様を救おうと城に入っていきましたが、みな茨に阻まれ、命を落とします。

しかし・・・ついに、近くの国の王子様が茨を掻き分け、お姫様のもとまでたどり着き、その唇にキスをします。
姫は目を覚まし、二人は幸せに暮らしたとさ。

・・・というお話です。

ここで、一度考えてみたいんです。
お姫様は、どうして目覚めたんでしょうか?

本当に王子様のキスで目覚めたのか?

一般的には「王子様がキスをしたから」と考えられています。
王子様のキスが素晴らしかったから、眠り姫は目覚めたというわけです。

コーチはこうやって、自分自身のすごさ誇ることもあるかもしれません。

でも、ある時ソリューションフォーカスのコミュニティーの仲間が、

「これってさ、単に100年が過ぎたから、お姫様が目覚めただけなんじゃないの?」と言いだしたんです。

「実は王子様は、たまたまお姫様が目覚めるタイミングに居合わせただけ。王子様がキスをしていても、キスしていなくても、どちらにせよお姫様は目覚めたのかもしれない」というんです。

つまりクライアントさんは、すでにリソースを持っていて、どこに行きたいかも本当は知っていて、そして、すでに目覚めるタイミングにあるということです。

だからコーチがいても、いなくても、どちらにせよ立ち上がって前進することになっている。
私たちコーチはただの立ち居人で合って、謙虚に、畏敬の念を持って、その目覚めの瞬間を目撃しているだけかもしれない、というんです。


この話が、仲間内で反響を呼び、議論が盛り上がりました。
「クライアントさんは自分で解決し前進することができる」という考え方を持っているソリューションフォーカスの実践者たちだから子こそ、この話を無視できなかったんです。
そんなスタンスで考えれば、確かに王子様のキスは全く意味がなかったとも言えますよね・・・

最高のキスで迎えるということ

だとしたら、コーチは必要のない、無駄な存在なんでしょうか。
これはさすがに、悲しすぎると思いませんか?


ソリューションフォーカスの仲間たちも、「それもわかるけど、さすがに寂しいだなぁ」と話し合っていました。

そんな時、仲間の一人が、

「でも、目覚めたときに誰かがいて、キスをしてくれてるって素敵なことだし、
 その人のキスがとても上手だったら、さらに素敵だと思うわ」

と言いだして、これがみんなに大ウケしたんです。

確かに、お姫様そのものに目覚める力があり、すでに目覚める準備ができていたからこそ、お姫様は目覚めたのかもしれない。
でもそんなときに、素敵な誰かがそばにいてくれて、それも素晴らしいキスで迎えてくれたら、とって素敵ですよね。

だから私たちコーチ/カウンセラーは、目覚めることになっていたお姫様の目覚めに、敬意をと感動の気持ちで立ち合わせてもらいながら、同時に、自分自身のキスの上手さを、誇りに思うこともできると思うんです。

「素敵な立会人」としてのコーチ

わかるような、わからないような話ですが(笑)・・・
ソリューションフォーカスでは、クライアントさんや、コーチ‐クライアントの関係、人が変化・成長していくということについて、どのようにとらえているかということについて、興味深い形で表しているなぁと思います。

確かに、「クライアントさんを変えてやる!」「正解を知っているのは私。クライアントさんをそちらに気づかせて、導く」というスタンスでクライアントさんに関わると、クライアントさんは、コーチの引いたレールの上でしか変化・成長できず、限界が生まれてしまいます。それどころか、コーチに依存してしまって、コーチがいないとダメ、という状態にもなりかねません。

だからと言って、ほおっておかれても寂しいし、独りでは頑張り切れないこともありますよね。

人生って、正解のないもの。何を目指すのか、どうなっていくのかを決めていくのは、クライアントさん次第です。
そして、コーチは正解を教える仕事ではなく、一緒に探求し、クライアントさん自身が自分なりの答えを見つけることを、支援します。
そうやって、クライアントさん自身が自分の力で考え、決め、試行錯誤していった方が、より大きな変化が生まれるという考え方なんです。だからこそソリューションフォーカスでは、クライアントさんへの敬意と尊重、そしてコーチの謙虚さを強調しています。


「じゃあ、コーチがいる意味って何なの?」ということについて、「キスの名手」説は、少しヒントをくれます。

確かに、お姫様が目覚めたのは、お姫様の力だと思います。

ただ、100年ぶりに目覚めたその時、独りぼっちだったらすごく寂しいし、不安になるかもしれません。
もしも目覚めたその瞬間から、冷たい対応を受けたら、もう人が信じられなくなるかもしれない。

でも、もしもその時に、素敵な人がそばにいてくれて、すごく素敵なキスをして、温かい言葉をかけてくれたとしたら・・・

やっぱりホッとするし、すごく嬉しいし、これからもいい毎日が始まるんだって思えませんか?
その気持ちで、その笑顔で外の世界に出たら、もっと世界が素敵なものに見えるし、周りの人も、より良い笑顔で迎え入れてくれるでしょう。

そして、そんな状態で行動し、人と関わるからこそ、さらに素敵なことが、本当に起きはじめるんじゃないでしょうか。

私たちコーチがどんな眼差しをクライアントさんに注ぐかによって、私たちのアプローチも自然と変化します。
この話が、コーチとしての世界観や人間観、「支援」についてのイメージを膨らませる助けとなりますように。

「眠り姫の話」は、あくまでもおとぎ話。どう解釈するかは、その人次第です。
でも、「世の中にはこんなスタンスで人を支援している人もいるんだなぁ」ということは、頭の片隅に置いておくと、なにかのタイミングで素敵なヒントをくれるかもしれませんね。

キスの名手に向けてのあなたの旅が、素敵な旅路となりますように。

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人生やキャリアなど、この世界には、「正解のないこと」があふれています。そしてコーチングは、答えを教え込むのではなく、ともに正解のない問いに向き合い、クライアントさんととも探求する仕事。

そのためには、コーチが「答え」を知らない話題や、予想外の展開に直面しても、焦らず臨機応変に、クライントさんの探求に寄り添う力が必要です。

だけど書籍や、教室での練習では、「想定外」に対処する力を養うことができません。コンテンツとしてまとめる時点で、どうしてもマニュアル的になってしまうし、予定調和が働いてしまうからです。これまでコーチング教育の世界には、「教室での学び」と「現場での現実」を橋渡しする手法が存在していませんでした。

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