朝、目が覚めたら、
子どもたちのキャアキャアいう声と、
女性のアナウンスと音楽が聞こえてきた。
近所の幼稚園で、運動会をしているらしい。
ちょうどいい天気。
子どもたちは、泣いたり笑ったりしながら頑張って、
家族はお弁当を作って、スマフォ片手に、歓声を上げている。
パン喰い競争って、人生だよなぁ・・・
・・・考えてみたら僕は、壊滅的に運動神経の悪い子どもだった。
ドッヂボールでもサッカーでも、
「西田はあっちのチーム!」なんて言われちゃうほど。
そんなわけで、運動会の種目も、
かけっことか、リレーとか、騎馬戦とか、
体力勝負なのは、嫌で仕方なかった。
そのかわり、
パン喰い競争とか、玉入れとか、借り物競争とか、
おもしろい系というか、
まあ、運動神経がなくても、なんとかごまかせそうな種目に、
立候補することにしてた。
そんな僕は、
パン喰い競争でもやってるような気持ちで、
生きているっぽい。
いや、それどころか、誰かに、
「西田は行き当たりばったりだよね」と言われたら、
反論できない、かもしれない。
大学に入って半年、ある女の子に恋をした。
合気道で一緒に練習をした、一つ上の先輩だった。
なんとかジタバタ頑張って、お付き合いできるようになった。
でも彼女は忙しくって、全然会えない、メールの返信もない。
ちょっとスネた僕は、
「どうせ僕より友達とバイトのほうが大切なんでしょ!」
なんて思いながら、大学の廊下を歩いてた。
そしたら、たまたま通りかかった教室で、
友達が、何かの説明会を開いてた。
そいつと偶然、目が合った。
インターンシップの説明会だった。
ちょっとスネてた僕は、
「どうせ彼女も忙しくしてるんだし」と、
インターンシップをやってみることにした。
インターンシップ先で、
かっこいい大人たちに出会った。
「自分もこんな大人になりたい」って思った。
ベンチャー企業というものを知った。
卒業して、ベンチャー企業に入った。
入社してすぐ、新入社員研修があった。
そのプログラムが、めちゃくちゃおもしろかったし、
出会った講師が、めちゃくちゃかっこよかった。
「こんな仕事があるんだ!やってみたい!」って思った。
1年ほど働き、色々あって会社を辞めた。
癒しとかマッサージに興味を持っていた僕は、
スーツを脱いで、マッサージ屋さんで働くことにした。
合気道は続けていた。
マッサージ屋が閉店してから稽古に行ったら、
年上の稽古仲間から、
「なんで最近、スーツじゃなくて私服なの?」って聞かれた。
「いやぁ実は会社を辞めまして……」なんて話したら、
「それなら、おもしろい社長がいるから紹介するよ!」と言われた。
それまで知らなかったけど、この稽古仲間は、経営者だった。
そして、紹介された社長は、
これから、研修・人材育成の事業を始めようとしていた……
そしていろんな出会いや、別れを経て、
僕は、独立して、研修講師として、人材育成のお仕事をしている。
目の前のものに、喰いついて。
そこで思ったことから、また次の何かを目指して。
行き当たりばったりかもしれないけど、
なんだか、結構おもしろい人生を生きている気がする。
あの時、社長に紹介してもらわなかったら。
あの時、インターンシップに行ってなかったら。
あの時、彼女に告白しなかったら……
僕たちは、それぞれの道を走っている。
目の前の、まだ誰も走ったことのない道。
そして向こうに、パンがぶら下がって、揺れている。
どんなパンかはわからない。
分かっていることは、
まずそのパンを喰いちぎらないと、
その先には進めないってこと。
走り始めたら、
まずは、手近なパンに、
喰いついてみるしかない。
「どれが一番おいしいパンかなぁ、届くかなぁ」
なんてためらってると、
めぼしいパンは、どんどんとられていってしまう。
だから、一瞬で、一番手近なパンを選んで、思い切りジャンプする。
そしてパンを食いちぎって、
もぐもぐしながら、走る。
喰いついたパンは、アンパンかもしれない、
歯がおれそうな堅いパンかもしれない。
カレーパンかもしれないし、
めちゃくちゃおいしいクリームパンかもしれない。
「うまい!」だの「激辛やん!」だの思いながら走る先には、
次のパンが並んでいる。
さっきよりほんの少し賢くなったあなたは、
ほんの一瞬で、ほんの少しの判断をして、
さっきより、すこしだけおいしそうなパンに喰らいつく。
その判断は、
大当たりかもしれない、大外れかもしれない。
それでも走り続ける。
そしたら、またパンが見えてくる……
一瞬の判断で走り寄る。
跳びつく。喰いちぎる。そしてまた走る。
そうすると、次のパンが見てくる。
そんなことをしてるうちに、
美味しいパンを見つける力が、ついてくる。
飛びつく脚力も、上がってくる。
人生は、実際のパン喰い競争と違って、
スタートとゴールは人それぞれだし、
パンも一個だけじゃなかったりする。
だけど……
まずは目の前のパンに喰いつかないと、
何も始まらない。
そして……
最初からおいしいパンに巡り合っても、
まだまだ、人生は続いている。
美味しさを楽みつつ、
次に向かって走り続ける。
時には、マズいパンにも出くわすけれど、
だからって人生終わるわけじゃない。
あなたは少しずつ賢くなって、
一瞬の判断で、前よりもよいパンを選べるようになる。
そうやって、走って、跳んで、喰いついて・・・
あなたのレースが終わるとき、
顔を真っ赤にして、
モグモグやりながら走り切ったあなたには、
拍手と歓声が待っている。
そして、マズいパンも、コケたときのことも、
なぜだか、いい思い出になってしまっている。
ほら、目の前に、
まだ誰も走ったことのない道がある。
僕にしか走れない道がある。
あなたにしか走れない道がある。
走り出すことは、あなたにしかできないけれど、
かたずをのんで、応援してくれる人がいる。
・・・・さて、お次のパンは?
付記:こちらは、天狼院書店の、ライティングゼミの宿題として執筆したものを、
フィードバックをもとに修正したものです。
めちゃくちゃ濃密で、チャレンジングで、おもしろい講座です。
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世界最先端のコーチング技法、
41ヶ国での学びと経験で、
全力でサポートします!
【プロフィール】
株式会社おもしろい研修代表取締役。
コスタリカ国連平和大学(UPEACE)国際平和研究修士。
ベンチャー企業での事業立ち上げを経験した後、
2008年に株式会社おもしろい研修を設立、
コーチング事業・研修事業を開始。
2014年、社会人留学。
コスタリカの国連平和大学にて、
50カ国の学生たちと、
文化を超えたチームビルディングを体験した。
大学院卒業・帰国後は内閣府「シップ・フォー・ワールド・ユース・リーダーズ」のファシリテーターを務め、13カ国の若者へのプログラムを提供。
洋上フリースクール「グローバルスクール」にカウンセラーとして世界一周に帯同するなど、国内外の若者の育成にも力を注いでいる。
研修講師・ファシリテーターとしては、
様々なチームでの内部衝突の解決、プロジェクトのキックオフ、ビジョン策定などのサポートをしている。
【実績】
内閣府グローバルリーダー育成
経産省による中小企業の国際化促進事業
ING生命様、
大手SNS運営会社様
イタリア発祥の高級車会社様
など